黎明と創世

ようこそ、クジラの世界へ。


まだ誰も成し得ていないことではあるが、あの鳥のように高く見下ろせたなら、

四匹の生きた大陸と神秘の海がこの世界の全てであるとわかるだろう。

陸成るものは陸成らざる、偉大なるクジラたち。

創世の頃よりこの世界には一欠けらの陸も無かったようだ。


さて存在するものには名が無ければ不便で仕方あるまい。

かの者が息をする場所が名の無い曖昧なものであってはいけない。


世界の名を「フウェイル」と言う。

古代エルフ語で、クジラ。


過ぎ去った賢人たちは四匹と一匹に親近も畏敬も含めてその名を定めた。

クジラは存在するものが四匹と伝説となっている一匹がいる。

星クジラ、雪クジラ、砂クジラ、花クジラ、そして夢みるクジラ。

フウェイルには多くの信仰があるが創世に関する伝承はクジラたちのものが唯一。

その話は……いずれ、どこかで。


しかし覚えておいて欲しい。

クジラたちはフウェイルにおける当然で、真理で、神様であることを。

クジラの背の上でかの者は生き、恩恵のもと魔法を操り、困難を乗り越える。

この世界はそのように出来ているのだと認識して欲しい。


ようこそ、フウェイルへ。

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